コソボ共和国

「コソボ問題」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
1989年から続いている問題で、セルビア人とアルバニア人がそれぞれの自治や独立についてずっと争い続けています。

なかなか解決しない争い

国の中ではセルビア語とアルバニア語という、まったく異なった言語が話されており、互いが互いの言語や文化を嫌っています。
テロ行為ではないかと思われる大殺戮、村全体が消滅してしまうほどの弾圧。
他国が介入に入っても、平和を促進するための会議を開いてもなかなか解決しません。
それぞれが自分の言語と文化で国全体を支配したいと考え、また武器を手放すことも望んでいないからです。

そんな中、UNDP(United Nations Development Programme、国連開発計画)が、コソボにおける警察の構築と能力強化を提案しています。
以前のコソボ内における警察は、一般市民とはかなりかけ離れた状態にあり、一言で言い表すなら「未熟」な状態でした。制度も確立されておらず、警察官たちも地域住民との関わりの重要性については何も理解していませんでした。

それもそのはず、コソボでは何年も、政治関係などの高い地位につける職業はセルビア人が独占していましたし、セルビア人の警察官達はアルバニア人たちを差別や迫害を行い続けていました。
地域社会は警察に不信感を抱くようになり、平和や事件の解決を求めて彼らを頼ることもしなくなってしまいました。
国民にとって、警察は軍隊と変わりない存在でしかなかったのです。

警察の役割を理解してもらう

そこでUNDPが安全保障における分野の改革を試みたのです。
コソボにいる警察官たちに、その役割を教え、訓練します。
地域住民との密着した関係が必要であること、争いを起こすのではなく鎮静化させるために働くべきであること、警備上の問題を解決するためにはどのようなステップを踏まなければならないか。

こうしたことを中心に認識を高めていくと共に、地域住民にも警察のあり方と接し方を学んでもらう方針です。どちらか一方が歩み寄るだけでは、このプロジェクトは成功しません。
両者の理解と働きが必要です。それまで、警察に対し恐怖心しか抱いていなかった地域住民も、だんだんと警察の役割を理解するようになってきました。

日本での当たり前をコソボでも

異民族が混在するコソボですが、問題解決のためには両者の信頼関係が必要ですし、協調性も求められます。かと言って社会がそれぞれ個々の意見を述べても話はまとまりません。
地域社会にはそれらを取りまとめる「リーダー」的存在を作り、そのリーダーと警察官が理解し合うことで、警察官は地域の人々の求めるものの優先順位を見定めることができ、その優先順位を元に活動することができます。

これは日本で、これまで当たり前のように行われているシステムではないでしょうか。
学校には校長やPTA会長といった立場の人間が意見を取りまとめてくれますし、町内では町内会長が地域住民の声を警察や政府に届けてくれます。
今まではこのシステムそのものが存在していなかったコソボでも、その意義を学ぶことで少しずつ受け入れられるようになってきました。
人々が安心して暮らせる社会が1日も早く訪れることを願ってやみません。

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