インドネシア

日本では「町のおまわりさん」という親しみやすいイメージのある警察官という職業ですが、インドネシアで「警察」と言うと怖いイメージ、また、近付きにくいといった印象があるそうです。
と言うのも、インドネシアの警察は元々、軍隊から始まったもの。
眼光するどい大柄な男性が怪しい者を俊敏にキャッチする姿は、頼もしくもありますが怖さも伴ってしまうかもしれません。

日本の警察官は羨まれる

そんなイメージを払拭すべく、今回の国際交流が実施される運びとなりました。
日本の伝統的な地域警察活動は、外国の関心を引いています。
日本の警察官は伝統的に、ことによると10人程度が交代制で勤務する交番で働きます。

犯罪学の講師で、日本に長く住んでいる英国人のフランク・リーシュマンは、こう述べています。「交番の警察官がいろいろと親切な働きをすることは有名である。
たいていは名前がついていない日本の通りで住所を教え、夕立にあった通勤者に持ち主不明の傘を貸し出し、酔っ払ったサラリーマンが終電に乗って家に帰れるようにし、“近所のもめ事”の相談に乗る」。日本が、通りを安心して歩けるという、他の国々がうらやむような評判を得ている理由の一つは、地域密着型の警察にあります。

インドネシアとの交流

このようなタイプの警察活動は他の場所でも効果的であるため、犯罪について研究する人の中には、その実際的な知恵を理解するようになった人もいます。
インドネシアでも、ぜひこの地域にしっかりと根をおろした警察官の育成を進めてもらおうと、数年前からこのプロジェクトは行われてきました。

今回の国際交流は約1ヶ月。その間に、警察制度の違いや参考にできる事例、手法を学び、取り入れて欲しいというのが目的です。
日本全国数ヶ所に行き、地域の派出所が人々とどのようにコミュニケーションを取り、安全を守っているのか…。インドネシアの警察官たちは、それらを肌で感じることができました。

実際に交番や警察を訪れた彼らは、終始驚き入っていました。
数多くの情報と処理を実に素早く行なう姿には感嘆の声が上がり、口々に「このシステムはぜひインドネシアに導入したい!」と言う声が飛びかっていました。

インドネシアにとって最適なシステムとは

なんといってもインドネシアの警察は軍隊から分離した組織ですから、命令を遵守するというシステムが、彼らの芯まで行き渡っています。
上からの命令を待たずに処理を進めてよいのか、悪いのか…そんなジレンマを抱えていた彼らも、日本人警察官がミニパトに鑑識機材を積み、事件発生後、すぐに応じることができるのを目の当たりにして、「この素早い判断能力と処理速度が地域の人々の信頼を得ているのではないか」と考えさせられたようです。

もちろん、日本のシステムをそのままそっくりコピーしても、インドネシアでは成功しないでしょう。
他民族多言語という、日本とは全く違う文化的、歴史的背景がインドネシアにはありますから、それらを考慮して自分の国に最適なシステムを作らなければなりません。

たとえば、日本と比べて圧倒的に農業従事者が多いインドネシアでは、交番より駐在所を増やすほうが効果的かもしれませんし、島や地域によっては原住民が複数の言語話している上に、識字率も日本より低い場合があるため、漫画やイラストを多用して非識字者にも理解しやすいパンフレットを作る必要があるかもしれません。
自国の事情に沿った、具体的かつ有用なアイディアが、その後の会議で次々に語られました。
日本の警察活動の影響を受けたインドネシアの警察官やそのシステムがどうやってインドネシアのものになっていくのか、今後の展開が大いに期待されます。

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